輪に編んで、靴下の形になるまで
平編み機とゴム編み機を行き来しながら、履き口、かかと、つま先を作る。
二つの針床で、一足を編む
使っているのは、平編み機のBrother KH940 Topical 3と、ゴム編み機のBrother KR890です。この制作では模様を自動で編む機能は使っていません。ゴム編み、輪編み、引き返し編み、減らし目。二つの針床を使う基本の操作を、一足の中で順に経験できます。
平に編む靴下では、模様を入れやすいことを選んでいました。今回は輪に編み、仕上げでとじる部分を少なくする方法です。どちらが正解というより、使いたい模様や道具、そのとき楽しく進められる工程によって選んでいます。
履き口を編んでから、輪に並べ直す
今回説明する例では、全体で60目を編み出します。袋編みをして、履き口のゴム編みを必要な長さまで編みます。
そのあと、ゴム編み機側の目をいったん平編み機側に移します。半分の30目に捨て編みをして外し、ゴム編み機側へ掛け直します。前後の針床に半分ずつの目を配置し、輪に編める状態を作るための移し替えです。
U字に並べた編み地の開いている側は、そのままだと穴が開くので、端の目をクロスさせます。この処理で1目ずつ、合計2目減り、60目から58目になります。輪編みは前後29目ずつで進めます。ここは手元が針床に隠れやすいところ。移す前と移したあとの目の位置を、いったん止めて見比べたい部分です。
足首を編み、かかとでいったん輪を休む
輪編みに切り替えたら、足首を好きな長さまで編みます。短くするか、長くするかで履いたときの印象も変わります。
かかとに入るときは、ゴム編み機側の目を休ませ、針床を下げます。端の目が伸びやすいので、端の四目程度を別糸で取っておくと安定します。必須の工程ではありませんが、手元を扱いやすくするためのひと手間です。
平編み機側で引き返し編みをして、かかとの丸みを作ります。編む範囲を狭め、それから戻していくことで、筒だった編み地に向きの変わる部分ができます。
輪編みに戻る前に、緩んだ目を整える
かかとができたら、休ませていたゴム編み機側を戻します。このとき、緩んでいる編み目を引き締め、周囲となじませておきます。くるぶしのところに穴を残しにくくするための処理です。
ここから足先へ、必要な長さまで輪に編みます。段数は糸やゲージ、欲しい寸法によって変わるので、過去に編んだ一足の数字をそのままサイズの決まりにはしません。
つま先は、減らし目で形を作る
つま先も引き返し編みで作れますが、輪編みの場合は減らし目で進めると楽です。仕上がりの形や見た目も、選ぶ理由になります。
輪編みに移ったあとの58目から、一回に四目ずつ、二段ごとに七回、そのあと毎段二回減らします。減らす回数は計九回、四目×九回で36目。58目から22目になり、前後に11目ずつ残ります。この目を捨て編みで外し、メリヤスはぎでつなぎます。
履き口はゴム編みの部分だけ開いているので、引き抜いてとじます。輪に編んだ部分が多いぶん、最後に手でつなぐ場所は履き口とつま先にまとまります。
つま先に残る目を数える
58目から、一回につき前後の針床で計4目を減らす説明例です。最初の7回は2段ごと、最後の2回は毎段。下の表は段番号ではなく、減らす回数を数えています。
| 減らす回数 | 全体の残り | 前後の針床 |
|---|---|---|
| 開始 | 58目 | 29目ずつ |
| 1回目 | 54目 | 27目ずつ |
| 2回目 | 50目 | 25目ずつ |
| 3回目 | 46目 | 23目ずつ |
| 4回目 | 42目 | 21目ずつ |
| 5回目 | 38目 | 19目ずつ |
| 6回目 | 34目 | 17目ずつ |
| 7回目 | 30目 | 15目ずつ |
| 8回目 | 26目 | 13目ずつ |
| 9回目 | 22目 | 11目ずつ |
最後の11目ずつをメリヤスはぎでつなぎます。糸とゲージに応じた寸法の調整は、この目数の計算とは別に考えます。
2026年9月24日訂正:輪編み開始時を60目としていた説明を58目に修正しました。端目のクロスで2目減るため、つま先の残りも22目(前後11目ずつ)になります。
制作記録を、操作の手掛かりに
機械に任せて往復するところと、目を移し、糸の緩みを整えるところ。一足を編んでいると、その両方が出てきます。最初から速く作ることより、操作によって編み地がどう変わるかを見る題材として、この靴下の記録を残しておきたいと思います。