キャリジを動かす、その前の仕組み
編み機では、キャリジを動かすと横に並んだ針が働き、段が編まれていきます。その一列を見ていると、一本の針で起きていることは、かえって見えにくくなります。2023年9月の制作映像では、針を手で動かし、白い糸が目になるところを近くから撮りました。
針先にある、小さなベラ
針の先には糸を引っ掛ける部分と、開閉する小さなベラがあります。投稿に残したのは、針に糸を掛け、前後させるだけでも目ができるという発見です。機械の大きな動きの中にある、ずっと小さな動きを取り出しています。
前の目から、次の目へ
針が前に出ると、針に掛かっていた目がベラを越えて移動します。新しい糸を針先に掛けて引き戻すと、前の目がベラを閉じ、閉じた針先を越えて外れていきます。そのとき、新しい糸が前の目の中へ引き込まれ、次の目になります。一本の糸が、前にできた輪を通りながら続いていく。その繰り返しが、編み地の中に並んでいます。
動きが見えると、気づく場所が変わる
当時の投稿には、ベラが曲がっていたり、動きが渋かったりすると編みにくくなることも書いていました。糸を掛けるところと、目が針先を越えるところがわかると、うまく編めなかったときにも、見る場所が少し具体的になります。機械全体を眺めるだけでは見過ごしていた、小さな部品の働きです。
手で動かす時間
キャリジなら一度に進むことを、一本の針でゆっくり確かめる。手で扱える速さに戻すと、いつもは見えなかった糸の通り道が見えてきます。当時、仕組みを理解するために繰り返していた動きが、Shortには残っています。
編み地を読むための、入口
これは機械を修理するための説明ではなく、目ができる仕組みを眺めた記録です。目を移す、落ちた目を拾う、タッピで目を作り直す。別々に見えていた手作業も、糸と輪の関係から考えると、少しずつつながっていきます。すべての技法を一度に覚える前に、針一本の中で起きていることを残しておきたいと思います。
