つくるヒント / 作品と編み地の記録

作品と編み地の記録

まっすぐ編んで、毎日使うものに

帽子、ハンドウォーマー、ストール。幅と長さから広がる、編み機の楽しみ。

色の変わる糸と黄色の糸で編んだ帽子。この作例は輪に編んでいます。
色の変わる糸と黄色の糸で編んだ帽子。この作例は輪に編んでいます。

色の変わる帽子、手の甲を包むハンドウォーマー、肩に掛けるストール。並べてみると違うものに見えますが、編んでいる間は、目数を変えずにまっすぐ進む部分が大半です。

増し目や減らし目を覚える前にも、作れるものはあります。幅を決め、必要な長さまで編む。その編み地をどう閉じ、どこを開けておくかで、使い道が変わっていきます。

柄のある帽子も、編み方はメリヤス編み

茶色や緑、オレンジの色が並んだ帽子。ここに見える色柄は、機械に複雑な模様を設定して作ったものではありません。色の変わる糸を使い、メリヤス編みを続けています。黄色の部分まで来たら糸を替え、そのまま次の色の部分へ。色の違うパーツを別々に編んで、はぎ合わせたわけではありません。

この写真の作例は、ゴム編み機も使って輪に編んだものです。同じような筒は、平に編んだ左右の端をすくいとじして作ることもできます。編み方が違うと仕上げの仕事も違いますが、出発点になる幅と長さの考え方は共通です。

実際に出来上がると、もう少し折り返しを大きくしたい、と感じることもあります。作者の当時の投稿にも、次は長さを足したいという記録が残っています。まっすぐ編む形には、使ってから次の一つを変えやすいところがあります。

閉じ方を変えると、使い方も変わる

もう一つは、梅村マルティナさんの腹巻帽子を参考に、作者がタック模様を入れて編んだ長い筒です。こちらは開口部を残し、首に通せばネックウォーマー、頭までかぶればフードに。ねじって折り返すと、帽子としても使えます。

先ほどの帽子と、この筒は、端の仕上げが同じではありません。形だけを見て「どちらも筒」とまとめるより、どこを閉じ、どこを開けたままにしているかを見ると、使い方の違いが見えてきます。

長い筒を首に通したところ。模様を入れた、別の作品です。
長い筒を首に通したところ。模様を入れた、別の作品です。

小さな作品に、手編みの続きを残す

ハンドウォーマーの本体も、幅を決めてまっすぐ編む形です。大きな服より少ない糸で、手首の長さや模様を変えて試せます。写真は、親指を付ける前にサイズを確かめているところ。赤い別糸を入れた位置に、あとから親指の部分を作ります。

親指を付ける前の試着。別糸の赤い部分と、手のひら側のメリヤス編みが見えます。
親指を付ける前の試着。別糸の赤い部分と、手のひら側のメリヤス編みが見えます。

本体を編み機で編んで、親指は棒針で編み足す。作者の作例では、そんなふうに二つの道具を使っています。別に編んだゴム編みのパーツを、はぎ合わせる方法もあります。機械編みで始めたからといって、最後まで一つの道具で作る必要はありません。

当時は手のひらの長さや、模様を入れる範囲も変えていました。最初の試作品を実際にはめると、次に変えたいところが具体的になります。親指用の別糸を入れる操作は少し練習が必要ですが、本体がシンプルなぶん、そこに集中できます。

四角いストールは、編み地そのものを楽しむ

イギリスゴム編みのストール。洗い工程を経て、肩に掛けたところ。
イギリスゴム編みのストール。洗い工程を経て、肩に掛けたところ。

このストールは、ゴム編み機を組み合わせたイギリスゴム編み。輪郭は四角くても、編み地には厚みと凹凸があります。写真は洗い工程を経たあとのものです。作者は、編んだ直後よりもふんわり柔らかくなったと記録しています。

メリヤス編み、ゴム編み、模様編み。同じようにまっすぐ編んでも、糸と編み地の選び方で、厚みや伸び方、体に沿う様子が変わります。電子編み機の用意された柄を使う方法もあれば、手で針を選んだり目を移したりする方法もあります。作業量や使える柄は機種によって違いますが、模様を楽しむ入口は一つではありません。

欲しい大きさから、目数と段数を考える

まっすぐな部分なら、幅を目数に、長さを段数に置き換えるのが基本です。大きな編み図を先に用意しなくても、欲しい寸法と、実際に使う糸・模様のゲージから考えられます。

ただし、同じ目数ならいつでも同じ幅になるわけではありません。作者もタック模様を変えたときに、横幅や段の高さが変わることを記録しています。帽子なら頭を通せるか、ネックウォーマーならどのくらい伸びるか。数値だけでなく、試し編みの感触も頼りになります。

四角い試し編みから、毎日使うものへ。編み機に慣れるために編んだ時間と、出来上がったものを使う時間が、近いところにある作品です。