同じつま先へ、違う道順で
靴下のつま先を編んだ記録には、引き返し編みを使ったものと、減らし目を使ったものがあります。どちらも足先を包む部分ですが、針の動かし方と、そのあとに残る仕上げの作業が違います。2023年10月には、その両方を試していました。
引き返し編みで、ふくらみを作る
引き返し編みの映像には、水色の編み地と、その下の別の色の部分が写っています。編む範囲を変え、部分ごとに段を重ねることで形を作っていく方法です。当時は「メリヤスはぎに抵抗なければ減らし目より簡単」と書いていました。編んでいる時間だけでなく、あとではぐ作業も含めた、自分の手になじむ方法としての感想です。
減らし目で、幅を狭めていく
もう一方の映像では、本機側とゴム編み機側の左右で目を減らしています。当時の記録には、一度の減らしで計四目減らしたことが残っています。針に掛かっている目を移しながら、つま先へ向かう幅を狭めていく。引き返し編みとは、形の作り方が違います。
58目から22目へ。11目同士をはぐ
今回説明する輪編みの靴下は、58目からつま先を作ります。前後の針床の左右で1目ずつ、一回に計4目を減らします。二段ごとに七回で28目、そのあとの二段は毎段減らして8目。合わせて36目を減らすので、58目から22目が残ります。前後11目ずつを捨て編みして外し、その11目同士をメリヤスはぎでつなぎます。
楽なところが、同じとは限らない
今回の比較では、どちらも最後はメリヤスはぎです。減らし目なら11目同士、引き返し編みなら29目同士をはぎます。11目のほうが、はぐ目が少ないぶん仕上げは楽になります。一方で、編んでいる間の操作は引き返し編みのほうが簡単に感じていました。編むときの手間と、仕上げるときの手間。その配分が違う、ということです。
同じ58目から、最後にはぐ目を比べる
| 方法 | 最後にはぐ目 | 仕上げ |
|---|---|---|
| 減らし目 | 11目と11目 | メリヤスはぎ |
| 引き返し編み | 29目と29目 | メリヤスはぎ |
減らし目の計算:4目×7回+4目×2回=36目。58−36=22目(11目ずつ)。
比べるのは、まず工程の違いから
この二つは、同じ糸やゲージで条件を揃えた比較試験ではありません。履き心地や丈夫さの優劣を決めるための記録でもありません。まず残しておきたいのは、どこで目を扱い、どこで糸を通して仕上げるのかという違いです。
一足の作り方を選ぶ
靴下を編む方法を考えるとき、かかとやつま先だけを切り離して決めるわけではありません。入れたい模様や使う機械、とじはぎのしやすさも一緒に考えます。二つの映像を並べることで、作り方に選択肢があることと、それぞれの工程に理由があることが見えてきます。
